私:(YouTubeを見ながら)いいねえ、これ。
うり坊:かわいいね。
私:親子で一緒になんかやるの、夢だったんだ。
うり坊:うちもクリスマス会でリコーダー吹いたじゃん。
私:まあねえ。
うり坊:ママも入って一家四人でだから、ここより凄いよ。
私:でもさあ。
うり坊:男の子二人がいいの? 女で悪かったね。
私:そんなこと言ってないじゃん。
うり坊:じゃあ、トランペットがいいの? リコーダーを馬鹿にしているの?
うり坊はバロック音楽の専門家に、リコーダーを習っているからややこしい。
私:そんなことも言ってないじゃん。
うり坊:それなら、どうして「でもさあ」なの?
私:だんだんママに似てきたな。
うり坊:親子だもん、しょうがないじゃん。それよりねえ、どうして?
私:ここはお父さんが上手で、子どもを引っ張ってるじゃん。うちはさあ……
うり坊:一番下手っぴが父親だもんね。
私:……
うり坊:しょうがないよ。老いては子に従えっていうじゃん。
まだ老いてないよ。
「娘が話し相手になってくれるだけいい」と、会社の同僚は言っていた。しかしその会話は、父親の威厳とトレードオフされているのだ。
……でも、まあいいや。このトランペッター親子ほどではないけれど、我々も音を重ねる楽しさを知っているのだから。
2010/01/27
2010/01/17
晩ごはん
カリメロは晩ごはんが気になって仕方がない。
カリメロ:今夜はなにを食をべるの。
わたし:晩ごはん。
カリメロ:じゃなくて、晩ごはんはなあに、って言ってるの。
わたし:わからないよ。
カリメロ:わからないじゃなくて、具体的になにを食べるの。
わたし:具体的なんて、難しい言葉を知ってるね。
カリメロ:先生の口ぐせなんだ。テストの答えは具体的に書かないといけないんだって。
わたし:ふうん。
きっと投げやりな答えを書いて、教諭に諭されたのだろう。
カリメロ:あとね、抽象的って言葉も知ってるよ。
わたし:どういう意味。
カリメロ:知らない。
わたし:ふうん。
カリメロ:ねぇ、それより、今日の晩ごはんはなあに。
わたし:だから知らないよ。
カリメロ:じゃあ、なんかヒント。
わたし:ヒントか。そうだ、さっきママが肉を切っていたよ。
カリメロ:ということは、肉料理だね。
わたし:君の推理は正しいよ。わたしも肉料理だと思う。
推理という言葉を聞いて、探偵気分になったカリメロ。
カリメロ:ということは、恐らくピーマンの肉詰めじゃないかな。
彼の好物である。
わたし:その推理には賛成しかねるな、カリメロ君。ピーマンの肉詰めに使う肉は挽き肉だ。挽き肉を切ったりはしないよ。
カリメロ:でもさぁ、塊から切って切って挽き肉にすると、粘りが出て美味しいんだよ。
わたし:よく知ってるね。
カリメロ:ギョーザの鉄人が言ってた。
わたし:ふうん。
ピーマンの肉詰めにも鉄人がいるのだろうか。
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